【Q】鉄道などで、誘導無線というものが使用されていると聞いたのですが、 どういう仕組みですか? 【A】鉄道用語で、「誘導無線」と呼ばれているのは、電波法上で言う「高周 波利用設備の誘導式通信設備」に該当するものです。つまり、法律上は無線局 ではありません。また、免許も必要ありません。 地下鉄などのトンネルを主とする鉄道で使用されており、周波数は100KHz程 度の極低い周波数帯が使用されています。 トンネル内に誘導線という電線が展張されます。 誘導線は、トンネル内に数キロに渡って張られ、大地(大地帰還)又は電線(金 属帰還)と終端抵抗を介し1ターンのループを形成します。これが無線局の空中 線に相当する物です。 また、移動局は屋根や側面に空心や鉄心入りコイルを配置して、トンネル内の誘 導線に電磁結合させます。原理は、トランスの電磁誘導作用と考えた方が良く、 電波による伝搬とは別の物です。 送受信機は、周波数が低いだけで、無線局の物とかわりありません。 電波型式はFMで、周波数帯域幅は、超ナローの3kHz程です。 方式は、送受の周波数が異なる復信がほとんどですので、電話のように同時通話 が可能です。 使用目的は、電車と運転司令所間の電話、動力線を非常の場合に停電させる遠隔 制御、線路などの以上を報せる列車防御などに使用されています。