【Q】送信機のコモンモード対策について教えてください。 【A】通常、同軸ケーブルでも電源コードでも必ず2本の電線で成り立っており、 それぞれ電流の流れる向きが逆位相となっています。これをコモンモードに対し てノーマルモードといいます。 ところが周波数が高くなってきますと、色々な経路で電流が流れるようになり、同 軸の心線と網線、電源コードの2本の線に同位相の高周波電流が流れるようになり ます。これをコモンモード電流といいます。これは全く不要なもので、電波障害の 原因になります。 前置きはこれくらいにしまして、コモンモードの高周波電流をカットするにはコモ ンモードフィルタという物を装着すれば効果的です。 2mの場合、波長が短いですから、送信機から出ている電線のほとんどが対象にな ります。同軸ケーブル、アース線、電源コード、電鍵の線、マイクコードetc. 対策は、フェライトのトリイダルコアを装着する事によって簡単に対策できます。 電源コード等は2分割の物で良いと思います。アンテナの同軸ケーブルはRFイン クワイアリー社等で専門の物を売っています。他のケーブルは、トロイダルコアに 数回電線を巻けばOKです。 すべてのコアは、リグに近いところに入れなければなりません。 接地型の空中線以外では、アースは高周波的には何の効果もありません。電源の感 電防止のための役目しかありません。 波長の1/4以上の電線があれば、アンテナとして動作する可能性があるわけです。 同軸ケーブルで給電するタイプの非接地型の空中線ではかえってアースは電波障害 には逆効果になります。アースを取る場合は、直流だけ流して、高周波成分はアー ス線にフィルタを入れてカットするのが電波障害対策の鉄則です。 実際問題としては、10W 144MHz機では、まず電波障害のおそれは少ない と思います。ただし、430MHzでは、UHFブースタを使用している家庭のT Vには間違いなく障害が起こります。 また、HFでは、上記のコモンモードの不要輻射に対する対策が100Wを超える ような出力を扱う場合には必ず必要になります。