回転機構遍


以外に簡単な構造だ

写真は、蓄音機の内部を見やすいようにフレームの裏蓋を取り外した様子です。

基本的な、構成部品はゼンマイモータ、速度調節機構、ターンテーブルを回するための駆動軸及びそれらを接続するための歯車だけの簡単な構造だ。

写真左側から伸びる軸はハンドルにつながっており、これが回ることによってゼンマイが巻かれる。

ゼンマイが戻ると、歯車がターンテーブルの駆動軸を回転させる。

速度調節機構の歯車は、ターンテーブル駆動軸にかみ合っており、回転速度が上がるとブレーキをかけ、常に一定の回転速度に調節する。

ゼンマイモータ

蓄音機は、ゼンマイの板バネに蓄積されたエネルギーを放出することによりターンテーブルを回転させている。一昔前のオルゴールやゼンマイ時計と原理は同じだ。
ゼンマイモータは丸いケースに収納され、ゼンマイの巻き初めが駆動軸に、巻き終わりはケースに固定されている。
ゼンマイのケースの蓋は歯車兼用となっており、ハンドルを回転させることによってハンドルのウォ−ム歯車がゼンマイモータのケースを回転させてゼンマイ巻く。

一方、ゼンマイモータの軸にも歯車が付いており、ターンテーブルの軸に付いている歯車とかみ合っている。従って、ターンテーブルのブレーキが解放されると、ゼンマイのもどる力がターンテーブルを回転させることになる。


ケース内にゼンマイが巻かれている
速度調節機構


簡単で巧みな動作をする

ゼンマイモータとターンテーブルだけでも一応レコードは演奏可能であるが、回転するに従って、どんどん回転数が大きくなり早回し状態となってしまう。

蓄音機では、非常に巧みな機構で回転数を一定に制御している。

分解して初めてこの部分を見たときは、どのような役目をする機構なのか解らなかった。

板バネが折損したのでメジャーで代用

写真のように、おもりの付いた板バネ、ディスク板及びギアで構成され、ターンテーブルの回転に伴い高速で回転する。おもりは遠心力で外に広がろうとするため、板バネはビア樽のように膨らむ。板バネの片端はディスクに止めてあるため、ディスクはバネが膨らめば膨らむほど、おもり側にスライドする。つまり、ディスクのスライドする位置は回転数で決まる。

ここで、ターンテーブルが78rpmに相当する位置にパッドをセットし、ディスクブレークをかけるようにする。このようにすれば、ターンテーブルが78rpmになるとブレーキがかかり回転数が下がり、また回転数が下がりすぎれば自動的にゼンマイの力で回転があがる。つまりは、機械的なサーボ機構が構築されるわけである。

手動ブレーキ

蓄音機では、電気のプレーヤのようにスイッチはない。ターンテーブルはゼンマイがもどる力で回転し続けている。この回転を止めるには、ターンテーブル自体を強制的に押さえ付けて止める原始的な方法が採用されている。

レバーを押すと、レバー先端に付いている皮製のパッドがターンテーブル内側の外周を押さえ込む構造となっている。

オートストッパー

レコードの溝は、演奏が終了すると急激に内側に動くように掘ってある。この動きを検出して自動的にターンテーブルの回転を止めるのがオートストッパーである。

トーンアームの動きは、コの字型をした金具でターンテーブル下のテコに伝わる。テコの支点の部分は、もう一つの金具と一緒に、微妙な摩擦係数で共回りするように調整されており、レコードが音溝をトレースするときはゆっくり動くため共回りせず、演奏が終わって急に動くと共回りして、ターンテーブルの軸に付いているカムにその先端が当たる事によりブレーキを動作させる。

テコの摩擦係数の調整は、ファイバー製の薄いシムを抜き差しすることにより行いますが、これがことのほかクリチカルで、根気がいる。


ターンテーブルの下にはこんな仕掛けが

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